開業4年目の行政書士が教える、開業後に「後悔しない」ための3つのポイント

行政書士として独立開業したいんだけど、正直、不安でいっぱいなんだよね…

わかる!僕も同じ。行政書士の資格は取ったものの、本当にやっていけるのか不安だよ。開業資金もいくら必要なのか見当もつかないし…

行政書士として開業したい、と希望に胸を膨らませる一方で、「本当にやっていけるのだろうか…」と、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、現役行政書士4年目の私が、自身の経験をもとに、行政書士として開業後に後悔しないために必要な3つのポイントを紹介します。参考にして頂ければ幸いです。

ポイント1:「経営者」としての意識と覚悟をもつ

行政書士として開業するということは、同時に、事務所を経営する「経営者」になるということです。この意識を忘れてはいけません。

開業すると、経営者としての基礎知識やビジネスマナーが求められる場面が多く発生します。すべての判断が自分の責任となり、誰かが正解を教えてくれるわけではありません。

行政書士になる前に、経営者になるという意識と覚悟を持つことが大事です。

経営者として求められる知識の一例

  1. 経営全般の基礎知識
    ・経営理念の策定
    ・財務管理(収支計画・予算管理など)
    ・税務・会計(確定申告・帳簿管理など)
    ・法務知識(契約書の作成・管理など)
  2. マーケティング・集客の知識
    ・ターゲット市場への理解
    ・集客の戦略
  3. ビジネスマナー
    ・挨拶や電話対応、
    ・メールや文書の書き方  など
いのうえ

私は前職で経営に近い立場で働いていたため、ある程度ビジネスの知識やマナーは知っていたつもりでした。でも、実際に開業してみると、契約や請求の流れなど、分からないこともたくさんあり困惑しました。

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ポイント2:資金は十分に準備する

行政書士は、大きなオフィススペースを必要としないため、自宅を事務所にしたり、小さい賃貸事務所でも十分に開業できます。

また、大きな設備投資も不要で、机、棚、パソコン、プリンター、電話、インターネット環境などがあれば、すぐに業務を開始できます。

そのため、行政書士は他の事業に比べて低資金で開業が可能です。

しかし、安易に資金を準備することなく開業してしまうと、結局資金不足に陥り、廃業せざるを得なくなる可能性もあります。

事業が軌道に乗るまでには時間がかかるため、それまでの事業資金と生活費を十分に準備しておく必要があります。

少なくとも半年分以上の資金を準備しておきたい

では、実際に行政書士の開業にはどのくらいの資金を用意しておくべきでしょうか。

一般的に、行政書士事務所の開業には、まず初期費用となる開業資金、そして事務所を運営していくための運転資金、さらに自分自身の生活費が必要になります。

私の経験からお伝えすると、少なくとも半年分の資金を事前に準備しておくと、開業後も安心して業務に取り組めると思います。

事務所を借りて開業(家賃7万円)、生活費は月額25万円の場合の必要資金(6か月分)

項目 費用
【開業資金】
行政書士会への登録費用(3か月分の会費含む) 28万円前後
開業設備費(机・棚・PC・プリンター・電話・ネット等) 約20万~35万円
事務所初期費用(敷金・礼金・前家賃・手数料等) 約25~35万円
広告宣伝費(ホームページ・名刺・チラシ等) 5~10万円
合計 78万~108万円程度
【事務所運営費】(月額)
家賃、光熱費 9~10万円
各種会費 1万円
広告宣伝費 1~5万円
消耗品・その他 4万円
合計 15~20万円
6か月分 90~120万円
【生活費】
6か月分(25万円×6か月) 150万円
【合計】
合計 318~378万円程度

【合計】 318~378万円程度必要となる

※上記の試算はあくまで目安です。実際には、ご自身の状況に合わせて、必要な資金を計算するようにしてください。

生活にかかる固定費を見直しましょう

資金を準備することも大切ですが、支出を減らすことも同じくらい重要です。特に大きな削減効果があるのは、生活費における固定費の見直しです。

固定費を削減することで、毎月の支出を抑え、収入が少ない月でも生活を維持しやすくなります。

固定費削減の具体例

  • 車の維持費を減らす(夫婦2台持ちを1台にする、燃費の良い車にする、カーシェアリングを利用するなど)
  • サブスクサービスの見直し(不要なサービスや、利用せずにそのままになっているサービスがないか確認)
  • 保険の見直し(必要以上の保証になっていないか確認)
  • 通信費の見直し(格安SIMへの乗り換え) 
  • 食費の見直し(自炊の徹底、外食を減らす)など

創業融資を活用しましょう

行政書士の開業における資金調達には、創業融資の活用も検討しましょう。

自己資金が不足している場合はもちろん、余裕がある場合も、借りやすい創業時に融資を受けることで、より精神的なゆとりをもって運営することができます。

創業融資のメリット

  • 低金利
    一般的なローンに比べて金利が低く、返済総額を抑えることが可能です。
  • 返済期間の柔軟性
    元本返済の据え置き期間を長く設定できるなど、長期的な返済計画が立てやすいです。
  • 担保や保証人が不要
    不動産などの担保や保証人を立てずに融資を受けることが可能です。
  • 信用構築のスタートになる
    金融機関との関係を構築し、今後の事業展開につなげることができる。
  • 事業計画を第三者に評価してもらう機会になる
    金融機関の審査を受けることで、自分の事業計画を客観的に評価してもらうことができる。

創業時に利用できる代表的な融資制度として、日本政策金融公庫の「新創業融資」と、地方自治体と地方銀行等が連携して提供する「制度融資」があります。

どちらも原則として担保や保証人が不要で、比較的低い金利での融資が期待できる制度です。

どちらの制度が自分の状況にあっているか、しっかりと比較検討したうえで、最適な融資を選びましょう。

いのうえ

 私の場合は、知り合いが利用していた地方自治体の制度融資を活用して、開業資金を借入れました。

ポイント3:「実務」より「集客」に力を入れる

「実務経験がないのに、本当にやっていけるのだろうか…」

開業前の不安として、このように「実務」について心配する方は非常に多いと思います。私もその一人でした。しかし、実際に開業して痛感したのは、「実務」よりも「集客」について心配するべきだったということです。

どれだけ「実務」について準備をしていたところで、「集客」できなければ、その知識やスキルを発揮する機会はありません。開業前は「実務」だけでなく「集客」の方法を徹底的に学ぶ必要があります。

ターゲット市場の特定、競合の分析、自分の強みや差別化ポイント、実際の集客方法など、事前にできる準備はたくさんあります。

「実務」については、開業後にも民間のセミナーや書士会の研修会などで学ぶ機会は豊富にありますし、実際に業務に取り組む中で、苦労しながらも確実に身についていくものです。結局は実践こそが最高の学びです。

開業前の不安を減らすために「実務」についてある程度学ぶことは大切ですが、完全に理解することは不可能であり、それよりも「集客」について戦略的に準備することの方が重要であることを忘れないようにしてください。

いのうえ

私は開業1か月前から、マーケティングに関する書籍をたくさん読み、営業の基本やWEB集客の仕組みについて学びましたが、もっと早くから具体的な行動を伴って準備しておくべきだったと後悔しています。

開業前の営業準備はホームページとSNSで基盤作り

開業前から準備できる集客への取り組みとして、ホームページの制作とSNS運用がおすすめです。開業(登録日)に合わせてホームページを公開できるように準備を進めておきましょう。

また、ホームページの準備と並行して、SNSを活用した情報発信を始め、人とのつながりを増やす取り組みを行うことをおすすめします。

行政書士の開業前の準備段階から、開業後の具体的な営業戦略については、下記の記事で詳しく説明しています。
行政書士の営業戦略:顧客を増やすためのステップ解説|効果的な営業方法とは?

まとめ

この記事のまとめ:行政書士の開業後に後悔しないための3つのポイント

  • 「経営者」としての覚悟を持つ
    行政書士として開業するということは、同時に経営者になるということ。経営に関する基礎知識やビジネスマナーを身につけ、責任感を持って開業に臨みましょう。
  • 資金は十分に準備する:
    開業には一定の資金が必要です。少なくとも半年分の事業資金と生活費を準備し、固定費を削減する努力も大切です。創業融資の活用も検討しましょう。
  • 「実務」より「集客」に力を入れる:
    どれだけ実務能力があっても、集客ができなければ仕事は成り立ちません。開業前から集客方法を学び、ホームページやSNSを活用して基盤を作りましょう。

行政書士の開業は、不安も大きいけれど、大きなやりがいも感じられる仕事です。

この記事で紹介した3つのポイントを参考に、後悔のない開業を目指していただければ幸いです。

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投稿者プロフィール

そよぎ行政書士事務所 井上 護
そよぎ行政書士事務所 井上 護
1980年生まれ。A型。福岡在住の行政書士。2級FP技能士。
40歳にして脱サラ。令和2年度行政書士試験に合格し「そよぎ行政書士事務所」を開設。許認可業務に加えWeb制作も行う。