「小規模事業者持続化補助金(以下持続化補助金)」は小規模事業者が行う販路開拓や生産性向上の取組に要する経費の一部を支援する補助金です。
他の補助金と比較すると補助上限額が50万円〜100万円と少額であり、申請書類もシンプルであることから活用しやすい補助金として知られています。
持続化補助金を活用してホームページを作成したいと考えている事業者も多いのではないでしょうか。
持続化補助金には「一般型」と「低感染リスク型ビジネス枠」と2つの類型があります。
「一般型」と「低感染リスク型ビジネス枠」の違いを理解していないと、活用すべき補助金を誤ってしまうかもしれません。
この記事では持続化補助金の「一般型」と「低感染リスク型ビジネス枠」の違いについてまとめます。
また、どちらの類型を選ぶべきかのポイントについてもまとめます。
持続化補助金の活用を検討している方にとって参考にして頂ければと思います。
小規模事業者持続化補助金とは
持続化補助金は「生産性革命推進事業」により準備されている3つの補助金のうちの1つです。
生産性革命推進事業とは、中小企業・小規模事業者の生産性向上を継続的に支援する事業です。
中小企業者・小規模事業者が、人手不足、働き方改革、賃上げなどの様々な経営課題を解決するためには「生産性向上」が必須となります。
この「生産性向上」の取り組みを推進するために、「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」の3つの補助金が準備されています。
持続化補助金においては、小規模事業者が経営計画を作成して取り組む販路開拓の取り組み等を支援します。
販路拡大のためのチラシの制作やホームページの作成などに活用できる補助金です。
「低感染リスク型ビジネス枠」とは
新型コロナの長引く影響により、小規模事業者は大きな打撃を受け続けています。
そこで2020年に、持続化補助金に「コロナ特別対応型」が新設され、店舗内でのポストコロナに向けた設備投資や、感染防止対策費を補助する事になりました。
その後2021年に「コロナ特別対応型」から名称を変えて「低感染リスク型ビジネス枠」が新設されました。
「一般型」と「低感染リスク型ビジネス枠」との比較
趣旨・対象事業の違い
一般型 | 低感染リスク型ビジネス枠 |
---|---|
持続的な経営に向けた経営計画に基づく、地道な販路拡大等の取り組みを支援 | 経営計画及び補助事業計画を作成して取り組む、感染拡大防止のための対人接触機会の減少と事業継続を両立させるポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入等に関する取り組みを支援 |
「一般型」が地道な販路開拓等の取り組みを支援という大きな枠組みであるのと比較して、「低感染リスク型ビジネス枠」はポストコロナを踏まえた新たな取り組みを支援するという限定的な枠組みになっています。
「対人接触機会の減少」と「事業継続」を両立させる、ポストコロナを踏まえた「新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入」等に関する取り組みの例として下記のようなケースが案内されています。
補助対象経費の違い
一般型 | 低感染リスク型ビジネス枠 |
---|---|
※感染防止対策費は対象外 ※旅費、専門家旅費も対象 | 補助対象経費の全額が対人接触機会の減少に資する取り組みであること ※感染防止対策費も対象(該当する業種別ガイドラインの確認が必要) <感染防止対策費の上限> ・原則:補助金総額の 1/4 ・例外:補助金総額の 1/2 ※旅費、専門家旅費は対象外 ※展示会出展費はオンラインによる展示会等に限る ※補助事業計画とは関係のない単なる自社紹介等に関する HP の構築・改修費は対象外 |
「低感染リスク型ビジネス枠」は、補助上限額に上乗せしてアクリル板等の感染防止対策費も対象経費とすることができるのが特徴です。
反面、あくまで経費の全額が対人接触機会の減少に資する取り組みでなければ補助対象とならないことになっています。
「一般型」は販路開拓のための経費であれば、旅費や展示会出展費なども幅広く対象となりますね。
補助上限額の違い
一般型 | 低感染リスク型ビジネス枠 |
---|---|
補助上限額:50万円 補助率:2/3 | 補助上限額:100万円 補助率:3/4 |
「低感染リスク型ビジネス枠」は、「一般型」と比べて補助上限額も補助率も高いです。
対象経費等の条件は厳しいですが、条件を満たすことが可能であれば「低感染リスク型ビジネス枠」を活用すべきです。
ただ、「一般型」においても、設立・開業が2020年1月1日以降のの事業者であれば、補助上限額が100万円に引き上がるなどの制度もあります。
申請方法の違い
一般型 | 低感染リスク型ビジネス枠 |
---|---|
郵送または電子申請 | 電子申請のみ |
「一般型」は電子申請もしくは郵送での申請が可能ですが、「低感染リスク型ビジネス枠」では電子申請のみとなっています。
※電子申請には「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要となります。
商工会議所の確認の違い
一般型 | 低感染リスク型ビジネス枠 |
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必要(様式4:事業支援計画書を発行) | 不要(「支援機関確認書」は任意提出) |
「一般型」では商工会議所(商工会)に事前提出を行い、様式4(事業支援計画書)を発行してもらう必要があります。
「低感染リスク型ビジネス枠」においては、支援機関確認書の提出は必須ではなく任意です。
申請期間の違い
一般型 | 低感染リスク型ビジネス枠 |
---|---|
【第1回締切】2020年3月31日 ※終了 【第2回締切】2020年6月5日 ※終了 【第3回締切】2020年10月2日 ※終了 【第4回締切】2021年2月5日 ※終了 【第5回締切】2021年6月4日 ※終了 【第6回締切】2021年10月1日 ※終了 【第7回締切】2022年2月4日 【第8回締切】未定 | 【第1回締切】2021年5月12日 ※終了 【第2回締切】2021年7月7日 ※終了 【第3回締切】2021年9月8日 ※終了 【第4回締切】2021年11月10日 【第5回締切】2022年1月12日 【第6回締切】未定 |
「一般型」は3〜4ヶ月に一度、「低感染リスク型ビジネス枠」は2ヶ月に一度ペースでの実施となっています。
「低感染リスク型ビジネス枠」の実施が多いのは、新型コロナの影響を大きく受けている小規模事業者の支援を重点的に行うという意図があるのではないでしょうか。
まとめ
いかがだったでしょうか。
本記事では小規模事業者持続化補助金の「一般型」と「低感染リスク型ビジネス枠」の違いについてまとめました。
では、持続化補助金を活用する上で「一般型」と「低感染リスク型ビジネス枠」どちらを選択するべきなのか。
それは実際に行う事業の内容と、補助経費として申請したい内容によって判断すべきですね。
また、事業を行いたいタイミングと申請期間がマッチしているかどうかも判断基準となりそうです。
補助金について詳しい専門家に相談してみるのもおすすめです。
持続化補助金を活用したい事業者の参考になれば幸いです。
投稿者プロフィール
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1980年生まれ。A型。福岡在住の行政書士。2級FP技能士。
40歳にして脱サラ。令和2年度行政書士試験に合格し「そよぎ行政書士事務所」を開設。許認可業務に加えWeb制作も行う。
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